マンションで火災報知器が鳴り響いたときは、たとえ以前に誤作動があったとしても、まずは火災の可能性を考えて行動してください。
煙や炎が見えたり、焦げ臭いにおいがしたりするときは、身の安全を確保し、避難と119番通報を優先します。
火災かどうか判断がつかない段階でも119番へ状況を伝え、管理会社からの返答を待って通報を遅らせないことが大切です。
現地での確認を経て火災ではないと分かった後は、管理会社や管理人と連携し、作動した機器や原因を調べます。
住戸内にある機器であっても建物全体の設備につながっていることがあり、居住者が自由に取り外せるとは限りません。
この記事では、警報が鳴ったときの連絡先、居住者と管理者のそれぞれの役割、そして誤作動を繰り返さないための点検について解説します。
この記事でわかること
- 火災か判断できないときと夜間に警報が鳴ったときの行動
- 自分で対応できる範囲と管理会社へ任せる範囲
- 主な誤作動の原因と点検業者へ伝える情報
火災報知器が鳴ったら誤作動と決めつけずに行動する
火災報知器が鳴っている段階では、それが誤作動かどうかは分かりません。「前にも鳴ったことがある」「自分の部屋に煙はない」といった理由で放置せず、身の安全を確保しながら周囲の状況を確認します。
火災が疑われるときや判断できないときは119番
煙や炎、焦げ臭いにおいがあるときは、避難と119番通報を優先してください。火元を探そうとして危険な場所へ近づいたり、警報を止めるために管理人室へ向かったりしないよう注意が必要です。
警報音が聞こえても発生場所が分からない場合や、施錠された部屋などで内部を確認できない場合も、119番へ通報します。柏市消防局でも、こうした状況では迷わず通報するよう案内しています。通報時はマンションの住所・名称とともに、「警報が鳴っているが火災かどうかは分からない」など、その時点で分かっている状況をそのまま伝えてください。出典:柏市「自動火災報知設備が作動したら」
| 警報が鳴ったときの状況 | 居住者が取る行動 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 煙・炎・焦げ臭さがある | 身の安全を確保し、避難と通報を優先する | 119番。安全を確保した後、管理者にも連絡 |
| 火災か不明、発生場所不明、室内を確認できない | 無理に調べに入らず、分かる状況を伝える | 119番。管理者の返答待ちで通報を遅らせない |
| 現地確認で火災でないことが確認された | 設備を勝手に外さず、停止・原因調査の対応を依頼する | 管理会社・管理人、建物の緊急連絡先 |
安全を確保したうえで管理会社や管理人に知らせる
管理側へ連絡する際は、警報が鳴り始めた時刻、聞こえる場所、煙やにおいの有無、119番通報の有無を伝えます。まだ確認していない部屋や場所については、「異常なし」と言い切らず、未確認であると知らせてください。
夜間や休日は、掲示板や入居時の案内書類に記載された緊急連絡先を使います。ただし、管理人が不在であることと、火災が起きていないことは別です。管理会社への電話がつながらず、火災かどうかも判断できない場合は、折り返しを待たずに119番へ状況を伝えてください。
なお、消防への通報は火災の危険に対応するためのものです。非火災と確認された後の設備修理や再発防止については、管理側から消防設備業者へとつなげる必要があります。
住戸内の機器でも自分で止められるとは限らない
マンションで「火災報知器」と呼ばれる機器には、住宅用火災警報器と、自動火災報知設備の感知器などが含まれます。設置されている場所だけでは、どちらの機器なのかを判断できません。
住宅用火災警報器と自動火災報知設備の違い
住宅用火災警報器は、煙や熱を感知して本体から音や音声を出す機器で、複数の警報器が連動する製品もあります。一方、自動火災報知設備は、感知器や発信機からの信号を受信機で受け、警報ベルなどで火災を知らせる設備です。
マンションでは、住戸内の感知器が自動火災報知設備につながっている場合もあります。「共用部は自動火災報知設備、室内は住宅用火災警報器」と一律に分けず、平常時に取扱説明書や管理会社の案内で確認しておくと安心です。警報が鳴っている最中に、機器を取り外して種類を調べることは避けてください。
警報停止は火災でないことが確認されてから
警報を止める操作は、火災でないことが確認された後に行うものです。東京消防庁の復旧フローチャートでも、非火災の確認後に音響を停止し、原因への対処と復旧へ進む流れを示しています。出典:東京消防庁「自動火災報知設備が鳴ったら」
住宅用火災警報器と確認できている場合は、非火災確認後に、その機種の取扱説明書に従って対応します。自動火災報知設備や種類が不明な機器は、管理会社・管理人など、建物で対応を担当する人に連絡してください。
居住者が自己判断で電池を抜く、配線を外す、受信機の電源を切るといった方法で警報を止めようとしてはいけません。本来の火災を知らせる機能を失わせるおそれがあります。また、共用部にある赤い発信機のボタンは、火災を周囲に知らせるためのものです。停止ボタンと間違えて押さないようにしてください。
マンションで火災報知器が誤作動する主な原因
火災がないのに警報が作動することを「非火災報」と呼びます。その原因は機器の故障だけとは限りません。以下は、非火災が確認された後に、管理側や点検業者が調べる際の手掛かりです。警報中に、居住者が誤作動と決めつけるための判断材料ではありません。
調理の煙や水蒸気、ほこりなどが入る
調理や喫煙による煙、湯気、ほこり、虫などが感知器内に入ると、火災以外でも作動することがあります。火を使っていない場面で鳴ったとしても、それだけでは故障とは判断できません。直前に調理や清掃をしていたかなどを管理側に伝えると、原因を絞る手掛かりになります。出典:池田市「自動火災報知設備の誤作動等について」
水漏れや結露と機器の老朽化が影響する
雨漏りなどの水滴が機器内部へ入り、電気回路に不具合が生じる場合があります。高温多湿の環境や機器の老朽化も、非火災報の要因です。「雨の日に繰り返し鳴る」「周辺に水染みがある」といった情報があれば、発生時刻や天候と一緒に管理側へ伝えてください。出典:岸和田市「自動火災報知設備の誤作動について」
機器に水が付いていても、居住者が分解して乾かしたり、自己判断で交換したりしないでください。感知器の点検だけでなく、漏水元の調査が必要かどうかも含めて管理側で確認します。
発信機の作動や電池切れ通知と区別する
共用部の発信機が押されたことで、警報が鳴る場合もあります。ただし、実際に人が火災を発見して押した可能性もあるため、最初からいたずらとは判断できません。
また、住宅用火災警報器には、電池切れや故障を音・表示で知らせる機種があります。これらの通知と、煙や熱を感知した火災警報は区別が必要です。音の表現だけで判定せず、型番と取扱説明書を確認してください。何を知らせる音か分からず火災の可能性を否定できない場合は、安全確認と通報を優先します。
管理者が確認することと点検業者へ伝える情報
管理者側では、火災への対応と、非火災確認後の設備対応を分けて進めます。ここでいう管理者側とは、管理会社・管理人や、建物の消防計画などで対応を担当する人です。居住者全員に受信機の操作を求めるものではありません。
発報場所と状況を確認して記録を残す
受信機の表示や警戒区域図は、作動した場所を調べる手掛かりになります。ただし、煙や炎がある場所へ、確認のために無理に入ってはいけません。火災か不明な状態では通報を遅らせず、現地確認も安全に行える範囲に限ります。
非火災と確認できた後は、次の情報を整理して点検業者へ伝えます。写真や記録は、安全が確保されてから残してください。
- 発生日時と、警報が鳴っていた場所
- 受信機に表示された区域・住戸や表示内容
- 作動した機器の型番、設置場所、確認できた状態
- 雨や漏水、調理・清掃・工事など直前の状況
- 過去に同じ場所で鳴った履歴と、今回行った対応
原因が分からない場合は、推測を確定情報として伝えず、確認済みの事実と分けて説明します。単に「また誤作動した」と伝えるより、発生場所と当時の条件を残す方が調査に役立ちます。
音を止めた後も原因調査と監視状態への復帰を確認する
警報音が止まっただけでは、設備の対応は終わりません。非火災確認後、担当者が機種や建物の手順に従って停止・復旧を行い、再び火災を知らせられる状態へ戻すことが必要です。
東京消防庁は、原因への対処と復旧に加え、音響停止の状態を戻すよう案内しています。連動する放送設備や排煙機などは、その設備側でも復旧が必要な場合があります。出典:東京消防庁「自動火災報知設備が鳴ったら」
再び警報が鳴ったときも火災の可能性を除外せず、判断できなければ119番へ通報します。非火災と確認された後、原因が特定できない場合や復旧できない場合は、管理側から点検業者へ対応を依頼してください。警報機能を止めたままにして、次の定期点検まで待つことは避けましょう。
繰り返す誤作動を防ぐためにできること
誤作動が続くと、警報が鳴っても「まただろう」と考え、避難や通報が遅れるおそれがあります。音を止めるたびに対応を終えず、原因を調べ、火災を確実に知らせられる状態を保つことが大切です。
居住者は点検に協力して周囲の変化を知らせる
住戸内に点検対象の感知器がある場合は、案内された点検に協力してください。不在になるときは管理側へ連絡し、必要な確認を受けられるよう日程を調整します。普段の生活のなかで、感知器を家具や物で覆う、塗装する、取り外したままにするといった扱いは避けてください。
水染みや結露、リフォーム後の変化などに気づいたら、管理側に知らせます。住宅用火災警報器の清掃は取扱説明書に従い、自動火災報知設備の感知器は自己流で内部を掃除せず、点検時に相談してください。
管理側は夜間の連絡体制と発報履歴を整える
管理側では、夜間の連絡先、対応担当者、点検業者へ連絡する手順を平常時に整理しておきます。岸和田市も、夜間に建物管理者や設備業者が対応できる体制を求めています。建物の緊急連絡先を居住者が確認できるようにし、担当者が不在の場合の対応も決めておくとスムーズです。出典:岸和田市「自動火災報知設備の誤作動について」
発生場所や天候などの履歴を残しておくと、同じ区域での再発や、漏水との関係を点検業者と確認できます。法令で設置が義務付けられる消防用設備等は、建物関係者による定期点検と結果報告が必要です。異常が見つかった場合は、定期点検の日まで待たず相談してください。出典:大阪市「消防用設備等の点検と報告」
交換時期は機器の種類ごとに判断する
住宅用火災警報器は設置後10年を目安に本体交換が推奨されています。一方、自動火災報知設備は、感知器・受信機などの種類や点検結果をもとに、管理側と専門業者が更新を検討します。どの機器も一律に10年で交換すると考えず、それぞれの故障や劣化の状況を確認して判断します。出典:総務省消防庁「住宅用火災警報器を設置しましょう」
マンションの誤作動は安全確認と原因調査をセットで進めよう
マンションで火災報知器が鳴ったら、過去の誤作動に慣れず、身の安全を確保してください。火災が疑われる場合や判断できない場合は119番へ通報し、管理会社の返答を待って対応を遅らせないことが大切です。
非火災と確認された後は、管理側と連携して原因を調べ、再び警報が働く状態まで復旧を確認します。
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