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防火戸連動感知器の設置基準|10m・60cm等の数値と3種を使う理由

防火戸連動感知器の設置基準

防火区画に設置される防火戸や防火シャッター、普段はあまり意識しませんが、
いざという時に確実に作動しなければ大変なことになります。
「防火戸の近くに感知器を付ければいいんでしょ?」と思われがちですが、
実は建築基準法で細かく数値が決められているんです。
防火戸から水平距離10m以内、壁から60cm以上離す、使う感知器は「煙感知器3種」など、
知らないと設計や施工でつまずくポイントがいくつもあります。

今回は、防火設備の施工や管理に携わる方に向けて、建設省告示第2563号に基づく設置基準から、
なぜ3種なのか、自火報との違い、メンテナンスのタイミングまで、現場で役立つ情報をまとめてご紹介します。

目次

防火戸連動感知器の設置基準とは?【建築基準法】

天井に設置された煙感知器(煙探知機)のクローズアップ

防火戸連動の感知器設置には、昭和48年建設省告示第2563号という古い告示があります。古いといっても今でも有効で、建築基準法施行令第112条第19項の技術的細則として機能しているんです。

感知器の種類は「煙感知器3種」が基本

防火戸を自動で閉めるための感知器には、光電式スポット型煙感知器の3種を使うのが基本です。
火災報知器でよく使われる2種とは違って、あえて感度を少し落としたものを使います。

ただ、場所によっては例外もあります。

  • 厨房や機械室:定温式スポット型熱感知器特種(78℃)を使うことも
  • 火災の広がりが早そうな場所:2信号式の煙感知器で二重チェック

要は、その場所の特性に合わせて選ぶってことですね。

防火戸からの距離(水平距離10メートル以内)

感知器は防火戸から水平に測って10m以内に付けないといけません。

10mってそこそこ距離がありますが、これは煙が防火戸の近くまで来たタイミングで確実に検知できる範囲として定められています。

それと重要なのが、感知器と防火戸の間に壁や扉があっちゃダメってこと。
途中に仕切りがあると煙の流れが変わってしまって、感知が遅れる原因になります。

現場でよくある確認ポイント:

  • 防火戸の両サイドにそれぞれ1個以上
  • 複数の防火戸をカバーする場合も、各戸から10m以内を守る
  • 天井が高い場所は煙の広がり方を考えて個数を増やす

壁・天井からの離隔距離(60cmルールの解説)

感知器は壁や梁から60cm以上離して設置します。なぜかというと、壁際って気流が乱れやすくて、煙がうまく感知器まで届かないことがあるんです。

天井面を煙が広がっていく時、中央に向かって集まるんですが、壁際では下に降りていく気流が発生しやすいんですね。
その影響を避けるために60cmという距離が設けられています。

実際の施工で気をつけること

  • 壁だけじゃなく、梁や柱などすべての突出物から60cm以上
  • 天井埋込型は、配線ボックスの中心で測る
  • 廊下みたいに狭い場所は、できるだけ真ん中に

設置してはいけない場所(空調・換気口付近など)

誤作動や感知の遅れを防ぐために、設置NGの場所があります。現場でよく見落とされるのがこのあたりです。

これらの場所には設置できません

場所理由必要な距離
給気口・エアコンの吹出口強い風で煙が散ってしまう1.5m以上離す
換気扇・排気口煙が吸い込まれて感知器に届かない1.5m以上離す
結露しやすい場所水滴で誤作動や故障の原因にそもそも設置NG
高温・多湿の環境センサーが早く劣化する熱感知器への変更を検討
天井裏・点検できない場所定期点検ができないと法令違反点検口を設ける

特にエアコンの吹出口は、後から追加されることもあるので、図面の段階で空調設備の配置と照らし合わせておくと安心です。

なぜ防火戸連動には「3種」の感知器が使われるのか

「感度が高い方が早く検知できていいんじゃないの?」って思いますよね。でも防火戸の場合、そう単純な話じゃないんです。

1種・2種・3種の違いと感度

煙感知器は感度によって1種・2種・3種に分かれています。数字が小さいほど敏感で、ちょっとの煙でも反応します。

煙感知器の種類と使い分け:

種別感度よく使われる場所どのタイミングで反応するか
1種5%減光美術館、サーバールームほんのわずかな煙で
2種10%減光一般的なオフィスビル火災の初期段階
3種15%減光防火戸の近く、避難経路火災がはっきりしてから

パッと見ると「え、3種って感度低いじゃん」と思うかもしれません。でも防火戸の場合、これには深い理由があるんです。

避難時間を確保するための「遅延」の役割

なぜ防火戸には3種を使うのか。答えは避難する人の安全を守るためです。

火災が起きた時、建物の中にいる人たちは防火戸を通って逃げます。この時、
感度が高すぎる感知器だとこんな問題が起きます。

高感度すぎると困ること:

  • タバコの煙や料理の湯気で誤作動しまくる
  • 避難中なのにシャッターが降りてきて、挟まれる危険
  • パニック状態の人がさらに追い詰められる

3種の感知器は、「ある程度の煙が溜まってから動作」することで、人が逃げ切るための時間を確保してくれます。
これって決して「鈍い」んじゃなくて、「ちゃんと考えられた遅延」なんですね。

最近増えてる2信号式: 最近は、2種と3種の機能を両方持った「2信号式」も使われています。
最初の煙で警報を鳴らして、2回目の検知で防火戸を閉める。早めに知らせつつ、避難の邪魔もしない、いいとこ取りの仕組みです。

熱感知器を使用するケース(定温式特種)

煙感知器が向いてない場所では、定温式スポット型熱感知器特種(78℃)を使います。

熱感知器の出番:

  • 厨房やボイラー室みたいに、いつも煙や蒸気が出てる場所
  • 喫煙室とか、普段から煙がある空間
  • 粉塵や湯気が多くて、煙感知器だと誤作動しちゃう環境

ただし熱感知器は煙感知器より反応が遅いので、使う場合は防火区画の設計全体を見直して、しっかり耐火時間を確保する必要があります。

自動火災報知設備との違いと連動の仕組み

防火戸連動の感知器と、火災報知器って同じものだと思ってませんか?実はこれ、根っこから違うんです。

消防法ではなく「建築基準法」の管轄

意外と知られていないんですが、防火戸連動は建築基準法、火災報知器は消防法と、そもそも法律が違います。

防火戸と火災報知器の違い:

項目防火戸連動感知器自動火災報知設備
どの法律?建築基準法消防法
どこに届ける?建築指導課消防署
何のため?炎や煙を閉じ込める火事を早く知らせる
使う感知器煙感知器3種、熱感知器特種煙感知器2種、熱感知器1種・2種
点検報告建築基準法の定期報告消防法の消防設備点検

この違いを知らないと、点検の報告先を間違えたり、必要な届出を忘れたりして、後で面倒なことになります。

連動制御盤とレリーズの役割

防火戸を自動で閉めるには、感知器だけじゃなくて連動制御盤レリーズ装置が必要です。

システム全体の流れ:

  1. 煙感知器が煙をキャッチして信号を出す
  2. 連動制御盤がその信号を受けて「閉めろ!」と指令
  3. レリーズ装置が防火戸を開けたまま保持してる仕組みを解除
  4. 防火戸・シャッターが自分の重さやバネで閉まる

防火戸には「常時閉鎖式」と「随時閉鎖式」があります。

  • 常時閉鎖式:普段から閉まってて、通る時だけ開ける(煙を感知したらロック)
  • 随時閉鎖式:普段は開いてて、火事の時だけ閉まる(マグネットとかで保持)

随時閉鎖式の場合、電磁石やフックで開けたままにしておいて、制御盤の信号でパッと外れる仕組みです。

複合型受信機による一括制御のトレンド

最近の大きなビルでは、複合型火災受信機で火災報知設備と防火設備をまとめて管理するのが主流になってきています。

複合型受信機のメリット:

  • 配線がシンプルになってコストダウン
  • 管理画面が一つにまとまって分かりやすい
  • 感知器を共用できるから省スペース
  • 緊急時の状況がパッと把握できる

ただし、感知器を共用する場合でも、防火戸には必ず3種を使うというルールは変わりません。2種で両方動かすことはできないので、そこは要注意です。

防火戸連動感知器の更新時期と維持管理

ビルの廊下でタブレットを手に天井設備を点検する作業員

防火設備って「付けたら終わり」じゃないんです。定期的なメンテナンスと、時期が来たら更新するのが大事です。

感知器・連動制御盤の交換目安(10年~20年)

消防設備や防災機器には、メーカーが「このくらいで交換した方がいいですよ」って目安を出しています。

機器ごとの交換タイミング

機器交換の目安こんな症状が出たら要注意
煙感知器10年誤作動が増える、反応が鈍い、変色
熱感知器15年作動温度がずれる、土台が錆びてる
連動制御盤15~20年基板の劣化、リレーの接触不良
レリーズ装置10~15年磁力が弱い、機械部分がガタつく
予備電源(バッテリー)4~6年容量が減る、膨らむ、液漏れ

見た目は普通でも、中身は劣化してるってことがよくあります。
特に感知器は埃が溜まると感度が変わるので、定期的に掃除して動作テストするのが大切です。

交換しないとどうなる?

  • いざという時に防火戸が動かなくて、煙や炎が広がる
  • 最悪の場合、人命に関わる事故につながる
  • 法令違反で罰則や営業停止になることも
  • 保険金が下りない可能性も

定期報告制度における点検項目

建築基準法第12条で、特定の建物の所有者は定期的に防火設備を点検して報告する義務があります。

防火設備の定期報告

  • いつ報告?:年に1回(自治体によって違うこともあり)
  • 誰が点検?:建築設備検査資格者か一級建築士
  • 何を見る?:動作試験、見た目チェック、連動テスト、予備電源テスト

点検でチェックすること

  • 感知器の感度を専用の機械で測る
  • 連動制御盤がちゃんと動くか確認
  • 防火戸が閉まる速さを測る(挟まれ防止装置も)
  • レリーズ装置が確実に外れるか
  • 感知器と防火戸の位置・距離が基準通りか
  • 予備電源がどのくらい残ってるか、交換時期は?
  • 配線が傷んだり錆びたりしてないか

不具合が見つかったら、すぐに直して記録を残しておく必要があります。

まとめ

防火戸連動感知器の設置基準って、ただの数字じゃなくて、火災の時に人の命を守るために考え抜かれたルールなんです。

今回のポイントをおさらい

  • 基準はしっかり守る:防火戸から10m以内、壁から60cm以上
  • 3種を使う理由:避難する時間を確保するため、あえて感度を調整
  • 建築基準法の管轄:消防法の火災報知器とは別物
  • 定期的に更新:感知器は10年、制御盤は15~20年で考える
  • 専門家に相談:法律は変わるので、最新情報のチェックを

防火設備って、普段は動かないからこそ、日頃のメンテナンスが本当に大事です。
新築やリフォームの時は、必ず防災設備の専門業者や建築士に相談して、建築基準法に合った設計・施工をしてください。

今すぐできること

  1. 会社のビルの防火戸周りを見て、感知器の位置を確認してみる
  2. 前回の定期報告書を引っ張り出して、指摘された点を確認
  3. 設置から10年以上経ってたら、業者さんに点検を頼む
  4. 建築確認の図面と実際の状態を比べて、勝手に変えられてないかチェック

防火区画をちゃんと維持するのは、建物の価値を守るだけじゃなくて、そこで働く人、使う人みんなの安全を守る責任です。この記事が、より安全な建物づくりの参考になれば嬉しいです。

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