消火器の期限が切れているが、罰則はあるのかについてです。
結論から言えば、罰則の対象となるのは「業務用消火器」を「設置義務のある建物」で使用しているケースのみ。
家庭に任意で設置している住宅用消火器には罰則がありません。
ただし、罰則以上に深刻なのが破裂事故のリスクです。
期限切れや老朽化した消火器を操作した際に破裂し、死亡事故に至った事例も報告されています。
本記事では、消火器の期限切れに関する罰則、種類別の交換時期、破裂事故のリスク、正しい処分手順を解説します。
期限切れ消火器で罰則の対象となるケース

消火器の期限切れで罰則が適用されるのは、すべてのケースではありません。ポイントは「業務用消火器」かつ「設置義務のある建物」かどうか。
消防法では、一定の条件を満たす建物に消火器の設置を義務付けています。この義務に違反すると、行政指導を経て罰則が科される可能性があります。
【消火器の設置義務がある主な建物】
| 建物の用途 | 設置基準 |
| 飲食店・物販店舗 | 延床面積150㎡以上 |
| 劇場・映画館 | 延床面積150㎡以上 |
| ホテル・旅館 | 延床面積150㎡以上 |
| 病院・診療所 | 延床面積150㎡以上 |
| 共同住宅 | 延床面積150㎡以上 |
| 工場・倉庫 | 延床面積150㎡以上 |
| 地下街・準地下街 | 面積に関わらず設置義務 |
上記に該当する防火対象物では、消火器の設置・維持管理が法的義務となります。
罰則が適用されるのは「業務用」の「設置義務違反」
消防法に基づく点検・報告義務は、業務用消火器のみに適用されます。
家庭に任意で設置している住宅用消火器には、点検義務も報告義務もありません。期限が切れていても罰則の対象外です。
ただし、罰則がないからといって放置は禁物。住宅用でも期限切れは安全上のリスクを伴います。
業務用と住宅用の違い
| 項目 | 業務用消火器 | 住宅用消火器 |
| 設置義務 | あり(条件を満たす建物) | なし |
| 点検義務 | あり(6か月に1回) | なし |
| 報告義務 | あり(1年または3年に1回) | なし |
| 罰則の対象 | なる | ならない |
| 使用期限の目安 | 10年 | 5年 |
命令違反・未設置による懲役・罰金
設置義務のある建物で消火器の不備が発覚した場合、まず消防署長から是正指導が行われます。改善されなければ「設置維持命令」が発令され、これに違反すると罰則の対象に。
消防法第17条の4に基づく罰則
- 設置維持命令違反:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 点検報告義務違反:30万円以下の罰金または拘留
- 法人の場合:最大1億円以下の罰金刑
罰則が適用されるのは、行政指導や命令を無視し続けた悪質なケース。とはいえ、消防署からの指摘を放置すれば刑事罰に発展する可能性があります。
旧規格消火器の設置は「未設置」と見なされる
2022年1月1日以降、型式失効した旧規格消火器は法的に「消火器」と認められなくなりました。
設置義務のある建物に旧規格消火器しか置いていない場合、消防法上は「未設置」と同じ扱い。行政指導や罰則の対象となります。
旧規格消火器の見分け方
| 確認項目 | 旧規格 | 新規格 |
| 製造年 | 2011年以前 | 2012年以降 |
| 適応火災の表示 | 文字のみ(「普通」「油」「電気」) | 絵表示(炎のマーク) |
| 型式番号 | 「消第○○号」など古い表記 | 新しい表記形式 |
旧規格消火器が残っていれば、早急に交換が必要です。
※参考:一般社団法人日本消火器工業会
消火器の「期限」はいつまで?
消火器には「使用期限」が設定されています。業務用と住宅用では期限の考え方が異なるため、それぞれ確認しておきましょう。
業務用消火器の設計標準使用期限は10年が目安
業務用消火器には「設計標準使用期限」がラベルに記載されています。一般的には製造から10年が目安。
この期限は「適切な維持管理のもとで安全に使用できる期間」を示したもの。期限を過ぎても即座に使えなくなるわけではありませんが、安全性の保証はなくなります。
消火器本体のラベルに「設計標準使用期限」または「製造年」が記載されているので、10年を経過していないか確認してください。
製造から10年経過で「耐圧性能点検」が必須
設置義務のある建物では、製造から10年を経過した消火器に「耐圧性能点検」が義務付けられています。
耐圧性能点検とは、消火器の本体容器に水圧をかけ、破裂や漏れがないかを確認する検査。10年経過後は3年ごとに実施しなければなりません。
耐圧性能点検のスケジュール
| 経過年数 | 点検の要否 |
| 製造から10年未満 | 不要 |
| 製造から10年経過 | 耐圧性能点検が必要 |
| 以降3年ごと | 継続して点検が必要 |
点検費用を考えると、10年を目安に新品へ交換した方が経済的な場合も。専門業者に相談してみましょう。


期限切れ消火器の最重要リスクは破裂事故
罰則よりも深刻なのが、期限切れ消火器による破裂事故のリスクです。
老朽化した消火器を操作すると、内部の圧力に本体が耐えられず破裂することがあります。サビ、腐食、変形、キズがある消火器は絶対に操作してはいけません。
死亡事故も発生している破裂事例
消火器の破裂事故では、死亡例も報告されています。
主な事故事例
- 兵庫県:腐食した消火器を廃棄しようとレバーを握った際に破裂し、男性が死亡
- 名古屋市:老朽化した消火器を操作した際に底部が破裂し、重傷
いずれも、サビや腐食が進んだ消火器を操作したことが原因。圧力がかかった瞬間に本体が耐えられず、破裂に至りました。
「期限が切れていても、いざという時に使えるだろう」——その考えが命取りになります。
劣化を防ぐ正しい設置・維持管理
消火器の劣化を防ぐには、設置場所と維持管理が重要です。
設置場所のポイント
- 厨房など湿気の多い場所は避ける
- 直射日光が当たる場所に置かない
- 屋外に設置する場合は格納箱を使用
- 床に直置きせず、壁掛けや台の上に設置

日常の維持管理
- 外観をチェック(サビ、変形、キズがないか)
- 圧力ゲージが正常範囲内か確認
- ホースやノズルに詰まりがないか確認
- 設置場所が障害物で塞がれていないか確認
腐食や劣化の兆候が見られたら、期限内でも交換を検討してください。
期限切れ消火器の正しい処分手順と費用
消火器は一般ごみとして処分できません。内部に圧縮ガスや薬剤が入っているため、専用のリサイクルシステムを通じて処理する必要があります。
消火器リサイクルシステムの概要
消火器は「消火器リサイクルシステム」によって回収・再資源化されています。
2010年以降に製造された消火器には、リサイクルシールがあらかじめ貼付済み。それ以前の消火器を処分する場合は、リサイクルシールを別途購入する必要があります。
リサイクルシールの価格
- 既販品用リサイクルシール:約600円(税別)
消火器の再資源化率は90%以上。本体の鉄やアルミ、内部の薬剤まで適切にリサイクルされます。
処分窓口の違いと利用方法
消火器の処分には、2種類の窓口があります。
特定窓口
消火器の販売店や防災事業者が該当。リサイクルシールの購入から回収まで一括で対応。ただし、収集運搬費が別途発生する場合も。
指定引取場所
消火器メーカーの営業所や指定業者の倉庫。自分で持ち込む必要がありますが、収集運搬費は不要。
処分窓口の比較
| 項目 | 特定窓口 | 指定引取場所 |
| 対応内容 | 回収・運搬まで対応 | 持ち込みのみ |
| リサイクルシール | 購入可能 | 事前に用意が必要 |
| 収集運搬費 | あり(1,000〜3,000円程度) | なし |
| 手間 | 少ない | やや多い |
窓口の検索は「消火器リサイクル推進センター」のウェブサイトから可能。郵便番号を入力すれば、最寄りの窓口が表示されます。
回収対象外製品の処分方法
すべての消火器がリサイクルシステムの対象ではありません。
回収対象外の製品
- エアゾール式消火具(スプレータイプ)
- 外国メーカー製の消火器
- 著しく腐食・損傷が激しいもの
これらは自治体のルールに従うか、産業廃棄物処理業者に依頼してください。処分方法がわからない場合は、自治体の清掃担当窓口へ問い合わせましょう。
消火器の安全管理と業者選びのポイント
消火器の期限切れで罰則の対象となるのは、「業務用消火器」を「設置義務のある建物」で使用しているケースのみ。家庭の住宅用消火器には罰則がありません。
ただし、罰則の有無に関わらず、期限切れ消火器は重大なリスクを伴います。破裂事故による死亡例も報告されており、「まだ使える」という判断は危険です。
安全管理チェックリスト
- 製造年・設計標準使用期限を確認しているか
- 旧規格消火器が残っていないか
- サビ・変形・キズがないか定期的に確認しているか
- 設置場所は適切か
- 点検報告は期限内に実施しているか
信頼できる業者を選ぶポイント
- 消防設備士または点検資格者が在籍
- 点検から交換・処分までワンストップで対応
- 見積書の内訳が明確
- 地域密着型で緊急対応が可能
- 消防署への届出・報告を代行
「そろそろ交換時期かも」と感じたら、早めに弊社へご連絡ください。
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